「自民改憲論」を斬る!
先日、自由民主党が改憲案提出の方針を固め、マスコミは一斉に「保守色の高い憲法案」と、「右翼は喜ぶ、左翼は起こる」ように報道しました。しかし、右翼の皆さん、ちょっと喜ぶのは早すぎませんか?まだ、「憲法改正の原案」すら完成していないのですよ?
いえ、「ちょっと」どころじゃありません。自民党の改憲方針には問題がありすぎです!「よし、今度は自民に投票しよう」と考えた愛国者の皆さん、少し落ち着いてこの文を読んでください。
『日本国憲法』は無効である
『日本国憲法』は無効です。『大日本帝国憲法』は「憲法の条項の改正」についての規定はありますが、「憲法全体の改正」の規定はありません。「憲法上諭」「憲法発布勅語」などの改正は不可能なのです。
安倍晋三元総理大臣は、現職時代に「憲法改正より憲法無効論」と唱える小沢一郎氏に対し、「無効との議論は意味がない。国民が選んだのも事実。」としていました。確かに『日本国憲法』の前文には「日本国民は(中略)この憲法を制定する」とありますし、それが日本の政府、少なくとも、安倍首相の頃をはじめとする一時期の自民党の見解なのでしょう。
しかし、『日本国憲法』が制定されたのは占領時であることを忘れてはなりません。占領下の人々に選択の自由はないのです。『ハーグ陸戦放棄』では「占領軍は占領に支障のない限り、現地の恒久法を尊重しなければならない」とあり、GHQには『大日本帝国憲法』を尊重する義務がありました。にもかかわらず、「国民が選挙で選んだ」鳩山一郎氏をはじめとする多くの衆議院議員を公職追放し、そのうえで「民主憲法を制定する」などと宣言したのです。
国民の選んだ代議士を追放しておいて、さも自分が国民に主権を与えたかのようにふるまうGHQの行動は、明らかに違法です。ですが、一部の論者には「『大日本帝国憲法』は『占領に支障』があった、だからGHQに行動は正当である」とする人もいます。しかし、そのような「占領に支障のない憲法」をなぜ、「被占領国」がいつまでも守らなければならないのでしょうか?これは「どうぞ、占領してください」という意思表示にほかなりません。
むしろ、占領状態の解除した今、「占領に支障のある」『大日本帝国憲法』のほうが国家にとって好都合なのです。
「天皇機関説」以外は無効である
「天皇は統治権を行使する機関である」との「天皇機関説」は『天壌無窮の神勅』以来の日本の国体に合致し、正当です。「天皇専制」や「国民主権」は『天壌無窮の神勅』に違反するのです。
こういうと、「なぜ『天皇専制』までもがいけないのか、『国民主権』もだめなら、だれが主権者なのか」という疑問や批判をされる方もいられるでしょう。しかし、「日本の国体」を調べると「日本神道が第一」という理念が浮かび上がります。そして、仲哀天皇のように、「神に殺された天皇」が「日本神道の聖典」である『古事記』に明記されているのです。
日本の主権者はだれか?それは、国民や天皇といった、「国家の一部」にあるのではなく、国民も天皇も「国家主権」を構成する一部なのです。日本の伝統は「支配・被支配」の関係ではないのです。
「『日本国憲法』は国民が選んだ」と主張する安倍晋三
安倍首相 改正すべき理由は3点。一つは制定過程。占領下で制定されたのは事実。また、時代にそぐわない条文もある。新たな憲法に書き込むべき価値も生じた。自民党の総裁としては、憲法改正を政治日程にのせるためにリーダーシップを発揮したい。政党同士、議員同士議論を深めるべき。行政府の長としては議論を見守るべきと考える。
小沢代表 (占領下での制定だからという)安倍総理と同じ考えを明文化している憲法を知っているか。
安倍首相 ドイツ基本法が、明文化しているかどうかは知らないが、その議論で作ったと承知。
小沢代表 ドイツもその考えがあるが、ベルギー、フランスでは明文化されている。フランスでは、領土の一体性が侵害された場合改正はできないとなっている。ベルギーでは、戦時下、国民の自由な意見の表明ができない時は改正できないとなっている。占領軍の深い関与の下での考えを進めると、
現憲法は無効というほうが、論理的には一貫している。
安倍首相 無効との議論は意味がないのでは。現憲法の意義を私は全部を否定していない。主権在民、基本的人権の尊重など。国民投票法案、改正の法的整備、法案について議論をしてもらいたい。憲法は定着し、国民が選んだのも事実。
小沢代表 一方で占領下、一方で良かったというのは、考え方、認識としてどうか。きちんとした考えを示さないといけないと私は思う。
是でわかるように、安倍首相は「占領下の憲法であるが、<国民が選んだのも事実>」と主張している。しかし、是こそ<事実誤認>である。
確かに『日本国憲法』の前文には「日本國民は、正當に選擧された國會における代表者を通じて行動し、(中略)ここに主權が國民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」とあり、是が<民定憲法>であることを明記しています。しかし、現実にはどうであったのか――それを物語るのが前述の「公職追放」です。
小沢一郎は憲法無効論者である
小沢一郎先生は次のように述べています。
「さらに誤解を恐れずに言えば、占領下に制定された憲法が独立国家になっても機能しているのは異常なことである。民法においては、監禁や脅迫により強制された契約が無効であることは自明の理である。それなのに話が憲法になると「占領下であっても国会で論議されて、正当な手続きを踏んだ上で定められている」などと、法の精神を無視した主張が罷り通るのである。
昭和二十一(一九四六)年、日本は軍事的占領下にあった。日本人は自由に意思表示できる環境になかった。正常ではない状況で定められた憲法は、国際法において無効である。これは一九〇七年に締結されたハーグ条約に明記されている原則であり、日本が終戦後に受諾したポツダム宣言にも、日本国の統治形態は国民の「自由に表明せる意思に従う」という条項があった」(「日本国憲法改正試案」小沢一郎『文藝春秋』)
そして、次のように述べられています。
「結論を言えば、昭和二十六年にサンフランシスコ講和条約が締結され、国際的に独立国として承認されたことを契機に、占領下に制定された憲法は無効であると宣言し、もう一度、大日本帝国憲法に戻って、それから新しい憲法を制定すべきであった。(中略)これは私のオリジナルな考えではない。占領下に制定された憲法が無効であるのは、かつては日本でも普通に論じられていた。佐々木惣一氏や大石義雄氏など、京都学派の代表的意見がそうであった。」(同上)
これが事実なのです。それにたいして、安倍晋三がどういったか、もう一度、よく見てください。
「無効との議論は意味がないのでは。現憲法の意義を私は全部を否定していない。」
「国民が選んだのも事実。」
これが愛国者のセリフか?よく考えてください。小沢氏の言うとおり、安倍氏の理論では「民法においては、監禁や脅迫により強制された契約が無効であることは自明の理である。それなのに話が憲法になると「占領下であっても国会で論議されて、正当な手続きを踏んだ上で定められている」などと、法の精神を無視した主張が罷り通る」のです。このようなことが許されるのでしょうか?
確かに、「帝国議会三分の二以上の賛成」は得ました。しかし、「衆議院議員は選挙で選ぶ」と『大日本帝国憲法』にあるのにもかかわらず、GHQは鳩山一郎以下、多くの衆議院議員を「公職追放」したのです。
「反対論者を追放したうえで可決」――そのようなことは断じて認められません。『日本国憲法』は完全に無効なのです。
自民党の改憲は「売国の一環」だ!
現在、自民党が憲法改正案を国会に提出しようとしています。しかし、無効な『日本国憲法』を改正して、何の意味があるでしょうか?そもそも、安倍晋三肝いりの『国民投票法』ですが、果たして、『朝日』『毎日』『日経』といった「売国マスコミ」の下で改憲などできるのでしょうか?
ですが、真の問題は別にあります。自民党は次のような巧みな戦略をかけようとしているのです。
「憲法無効論など、国民は知らない。改憲を言えば右翼は反対しないだろう。自衛隊を認めれば後はOK、『現状維持』で行こう」
『朝日新聞』は自民党の改憲案を「保守色が強い」といいましたが、私の見たところ、「現状維持」以外の何物でもありませんでした。これについて、石原慎太郎都知事は「憲法は無効。憲法改正など、時間の無駄」と言っていますが、まさにその通りなのです。
最終目標は『人権擁護法』制定
さて、今の自民党を見ると、ある出来事を思い出します。それは「小泉内閣」です。
小泉純一郎首相は2003年、『人権擁護法案』を国会に提出しました。しかし、これは報道機関への規制などを盛り込んだ、まさに『言論弾圧法』ともいうべき法案でした。これには平沼赳夫や亀井静香などが猛反発、あと一歩で造反寸前、というところで、政府は「衆院解散」を行ったのです。
『人権擁護法案』についてはまた今度詳しく述べますが、小泉純一郎首相は2005年、「郵政民営化」を争点に再び「衆院解散」を実施、平沼赳夫と改名静香自民党をは離党、彼らに自民党は「刺客候補」を擁立させました。・・・ここでお気づきになられた方はいるでしょうか?そう、『人権擁護法案』に反対した議員が「郵政選挙」で刺客を送られていたのです!
その後、平沼赳夫や亀井静香はたちあがれ日本や国民新党を結党、現在、彼らは石原都知事を中心に新党を結党する方針で、民主党からも小沢一郎氏や、小沢氏に近い大阪維新の会、減税日本、新党きづななども参加するといううわさもありますが、忘れてはならないのは小沢先生も『人権擁護法案』の反対派であったという事実。そして、公明党や民主党左派が自民と組んで『人権法案』の制定をもくろんでいる現状・・・ここに私は「郵政選挙」の再来を見るのです。
そうです、かつて自民党は世論の人気を味方につけて「郵政選挙」で圧勝し、『人権擁護法案』反対派を追放しました。そして、再び保守派に人気の高い「憲法改正」で選挙に勝利、その結果『人権擁護法』を制定させようと企んでいるのです!
前述の石原新党ですが、今月中の結党予定は結局無理、ということになりました。しかし、これではもし今年度前半に衆院解散があると、準備不足で石原新党は惨敗するでしょう。これについて、自民党は民主党左派と組み、「話し合い早期解散」を実施しようとしている噂があります。「増税、解散、そして『人権擁護法』」というつもりなのでしょうか?
みなさん、どうか自民党に騙されず、小沢先生を中心とする民主党右派を支持してください。
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