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『古事記』に記された干支と天皇の崩御年齢を基に、『古事記』『日本書紀』の説話の内容と検討しつつ、初代神武天皇から第15代応神天皇の在位年代を求めた結果、次のような仮説を妥当性のある結論と考えた。
1.応神天皇の崩御は394年、仲哀天皇の崩御は302年であり、応神天皇は仲哀天皇の孫で『古事記』に神功皇后の長男とするされる誉屋別命の息子である。
2.崇神天皇の崩御は「西暦198年戊寅」であり、即位年は西暦131年である。
3.神武天皇の即位は「西暦紀元前60年辛酉」である。
この3つの仮説を柱とした編年であると、『古事記』における天皇の年齢はすべて「倍数年暦」として処理して辻褄が合い、また、『古事記』『日本書紀』における説話に一定の真実性を与えることができると結論付けた。
これについては、また、このブログで詳細を触れたい。
問題は、この仮説に立った場合の問題点である。
私は、『古事記』の内容は基本的に信用できる、と判断して、崇神天皇の崩御年を198年とした。
一方、『古事記』も『日本書紀』も、纏向の地に崇神天皇の宮殿があったことになる。
ところが、現在の考古学の定説では、纏向遺跡は3世紀となっている。
仮に、纏向遺跡の主が崇神天皇ではない、別の人物(例えば、邪馬台国の卑弥呼)とすると、『古事記』『日本書紀』の内容は間違いであり、この編年の前提が崩れる。
逆に、纏向遺跡の主が崇神天皇であるとすると、この編年と矛盾する。(編年の詳細は後日、ブログに掲載する。)
そこで、今回は纏向遺跡についての考古学的考察を行った。
なお、歴代天皇の編年は主として文献史学の分野であり、今回の考察は、私の仮説に間違いと判断する根拠が存在しないことを示すものであり、積極的にこの考察によって私の仮説が証明される類のものではないことを、最初に述べさせていただく。
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まず、纏向遺跡からは三角縁神獣鏡は発掘されておらず、纏向遺跡の絶対編年が3世紀であるという証拠はない。
また、纏向遺跡は邪馬台(壱)国よりもむしろ、『古事記』『日本書紀』の崇神天皇・崇神天皇の都と一致する。(調べてみたら、それを根拠に邪馬台国九州説を唱えている考古学者もいるらしい。)
そして、3世紀の古墳とされる箸墓古墳からは、「纏向Ⅴ類」の土器と同年代とされる土器が見つかっている。
そうすると、纏向遺跡の「始まり」が、崇神天皇の時代であり、崇神天皇が即位されたのは西暦131年、崩御されたのは198年とする私の仮説とも矛盾しない。
古代史の考古学において、絶対年代が分かるのは銅鏡と金石文だけである。
しかしながら、「相対編年」についてはかなり綿密な考証がなされているようである。
従って、「纏向Ⅰ類」の土器が「纏向Ⅴ類」の土器よりも古いことは、ほぼ間違いないだろう。箸墓古墳から見つかっている「布留式土器」は「纏向Ⅴ類」と同年代とされている。
古墳時代の初期が3世紀であることは、三角縁神獣鏡の出土状況からして間違いはない。
一方、「纏向Ⅰ類」は箸墓古墳と同年代の「纏向Ⅴ類」よりも古いのであるから、纏向遺跡は主に弥生時代の遺跡であると判断できる。
近畿における古墳時代の始まりは3世紀中ごろというのが定説である。ただ、それが九州にも当てはまるとは、私は思えない。九州では「庄内式土器」が発掘されておらず、近畿とは別の文化圏であったと判断できるからだ。
上記の内容を総合すると、纏向遺跡は2世紀から3世紀にかけての遺跡である、と判断して問題がないように思える。
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最後に、考察の途中で行った
近畿における古墳時代の始まりは3世紀中ごろというのが定説である。ただ、それが九州にも当てはまるとは、私は思えない。九州では「庄内式土器」が発掘されておらず、近畿とは別の文化圏であったと判断できるからだ。
という文面の意味について、説明したい。
『魏志』「倭人伝」における卑弥呼の墓は、「径百余歩」と記されていることでもわかるように、円形である。前方後円墳の大きさを直径で示す人間は、まず存在しない。
私は九州は壱与の時代から古墳に時代に入り、卑弥呼の時代はまだ弥生時代であったと判断している。
そして、弥生時代の九州からは、庄内式土器が発見されていない。そうだとすると、九州と近畿は別の文化圏であり、古墳時代の始まりに少々の誤差があってもおかしくはないはずである。
ただ、こういうと「九州王朝説」や「邪馬台国九州説」の立場からの都合の良い解釈に過ぎない、という反論もあるのかもしれない。
そうした反論の中で、もっとも予想される説得力のある反論は、
3世紀の鏡である三角縁神獣鏡は九州でも発掘されている。そして、三角縁神獣鏡の最大発掘地は近畿である。ならば、3世紀の時点ですでに九州も近畿も同一の文化圏であったとみなして、問題ない。
というものであろう。
これは、「三角縁神獣鏡国産説」を認めつつ、「邪馬台国近畿説」を唱える論者のロジックでもある。すなわち、
国産の鏡である三角縁神獣鏡が日本の各地から出土している。これは、日本において既に三角縁神獣鏡を作成する全国規模の王権が存在した証左であり、そして、三角縁神獣鏡は近畿で最も多く見つかっているのだから、邪馬台国は近畿である。
という考えである。
しかし、「銅鏡が作成されてすぐに、古墳が作成される」というわけでは、ない。古墳は、銅鏡の使用者の死後に作られるからだ。
一方、土器は、現にその遺跡で使用されていた、いわば「同時代史料」(考古学の場合は、資料)である。
そして、「庄内式土器が九州から発掘されていない」という事実が、「崇神天皇は2世紀の王者である」「九州の卑弥呼の墓は弥生時代の墓である」という、文献史学の立場からの仮説と一致するのである。
これで、少なくとも、考古学的な出土状況から「纏向遺跡崇神天皇宮殿説」「邪馬台国九州説」「崇神天皇2世紀在位説」を積極的に否定する論拠にはなりえない、ということは言えると思う。
なお、いわゆる「邪馬台国東遷説」は、考古学の出土状況とは完全に一致しない。
何故ならば、3世紀中ごろに近畿では古墳時代が始まっており、そして、「纏向Ⅴ類」が古墳時代初期の土器であるということは、「纏向Ⅰ類」の土器は弥生時代の土器であるとしなければならない。
つまり、近畿の遺跡は弥生時代末期から古墳時代初期まで「一貫」しており、「断絶」の痕跡はない。
そうすると、「邪馬台国東遷説」の主張通り、3世紀に卑弥呼が没した後九州の勢力が近畿に侵入したとすれば、近畿の遺跡が「断絶」の片鱗すらも見せないことはおかしいのだ。
一方の「邪馬台国近畿説」であれば今度は文献状況と不一致であることは、すでに各方面から指摘されているので、ここでは触れない。
そうした観点からも、纏向遺跡が近畿天皇家の遺跡であると考えることは妥当であると思う。
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なぜ今ヴィーガニズムなのか (p.6)
反対派活動家は暗殺!家畜産業の闇と環境保護団体の欺瞞 (p.12)
家畜産業と多耐性菌――『日経サイエンス』の記事を読んで (p.15)
地球環境と生命倫理を考える (p.18)
第一回 「神を演じる時代」に問われる“保守”の真価
第二回 「保守」と「革新」の定義と違いについて
第三回 生命軽視の原点「優生思想」の誕生
第四回 現在も残る障碍者差別の危険思想「優生学」
第五回 優生思想と人口削減論
第六回 皇后陛下のメッセージと気候変動
第七回 気候変動と食糧危機の最大の原因は家畜産業
気候変動・海洋汚染を招く生命軽視・経済優先の唯物論文明 (p.31)
ネズミとも共生した日本人の魂と玄米菜食 (p.39)
第二部 万教帰一の観点から美貫を論ず
『聖書』の解釈とヴィーガニズム (p.42)
『コーラン』は原罪無しの真理を説く (p.60)
わかりやすい苦行と難行道と易行道 (p.67)
日蓮聖人は「唯神実相・唯心所現・万教帰一」の真理を説かれた (p.80)
『法華経』とアニマルライツと「天皇国・日本」の実相顕現 (p.87)
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第三部 仏教の真髄と「天皇国・日本」の真義
真の「天皇国・日本」とは本仏釈迦の霊山浄土である (p.124)
真言密教と日蓮教学は「天皇国・日本」に帰一す (p.148)
聖徳太子と『法華義疏』の真実 (p.161)
第一節 「遣隋使」は存在したのか
第二節 俀国とは九州王朝である
第三節 聖徳太子の前世と生い立ちの秘密
第四節 『法華義疏』は聖徳太子の著作ではない
第五節 「上宮法皇」とは何者なのか
第六節 聖徳太子の薨御と太子信仰
第四部 自然の生存権か国民主権か
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