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2017年4月30日 (日)

「クマソタケル暗殺事件」の背景に壱与の影!?――ヤマトタケル説話の考察(2)


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 私が前回のブログでヤマトタケルによるクマソタケル暗殺説話を紹介しましたが、私がそれを後世の造作としなかったのは、この話自体は天皇家にとって有利ではないどころか、逆に不利な話だからです。

 この「クマソタケル暗殺説話」を見る限り、景行天皇は器の小さい、ただの女好きで、しかも自分の息子に女を取られるような情けない男にすぎません。

 また、ヤマトタケルが女装してクマソタケルを暗殺する話も確かに面白いですが、一方、そのヤマトタケルは兄殺しの前科がある人間であり、全く英雄らしくありません。

 ですから、話を面白くするための若干の誇張はあるにせよ、大筋でこの話は事実だと思います。

 この「クマソタケル暗殺説話」のポイントは次の三つです。

・小碓(ヤマトタケル)はまだ子供であったこと。

・クマソタケルは九州で「新しい宮殿」を作り、その完成を祝う酒宴で暗殺されたこと。

・クマソタケルは兄弟であること。

・クマソタケルが小碓に「ヤマトタケル」の名を与えたこと。

 この最後のポイントは大きな意味合いを持ちます。

 というのは、クマソタケルがヤマトタケルに名前を「与えた」と言いますが、古代においてAがBに名前を与えるのは、Aが上位者の場合のみです。

 つまり、実質的には、クマソタケルの方がヤマトタケルよりも「大義名分上」は上だった、ということを示しているのです。

 さて、それでは、クマソタケルとは九州王朝のどの大王に当たるのでしょうか?


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 これまでの分析により、垂仁天皇・景行天皇の時代が卑弥呼・壱与の時代と一致することが判明しています。

 この時代、卑弥呼が「男弟」と「兄弟統治」をしていましたから、同じく九州王朝の王であるクマソタケルが「兄弟統治」をしていることも、不審ではありません。

 では、卑弥呼と壱与の前後に九州王朝に男性の王者が即位していたのでしょうか?

『魏志』「倭人伝」によると、卑弥呼が没した後、邪馬壱国は再び「男王」が統治するようになったが、上手くいかなかったので女性の壱与が即位した、とあります。

 また、『後漢書』によると、壱与の死後に再び「男王」が邪馬台国を統治したそうです。

 ここで、卑弥呼の後の「男王」を「男王A」と、壱与の後の「男王」を「男王B」としましょう。ヤマトタケルが暗殺したクマソタケルは、男王Aと男王Bのどちらでしょうか?

 ポイントは、壱与の年代です。壱与は266年に晋に朝貢しています。

 ヤマトタケルは277年には子供の仲哀天皇が産まれています。ですから、この頃にはすでに成人しています。

壱与が266年の晋への朝貢の「直後」に没した、というのならば別ですが、壱与自身は248年頃に13歳で九州王朝の大王に即位しています。倍数年暦なので、実際には数えで7歳です。なので、ヤマトタケルが幼い頃には壱与はまだまだ元気に生きているはずです。

 また、248年には成務天皇が産まれています。成務天皇は一般にヤマトタケルの弟とされていますが、『古事記』の記述からだけは断定できません。しかし、ヤマトタケルの生誕年を「230年代~250年代」と「推定」することは、それほど問題ではないでしょう。

 そう考えると、ヤマトタケルが幼い頃に男王Bを殺した、とすると年代面で辻褄が合わなくなるのです。

 ならば、男王Aならばどうでしょうか?


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 まず、『魏志』「倭人伝」で「男王A」がどのように記されているのか、を見てみましょう。

 更に男王を立つ。国中服さず。更に相誅殺し、当時、千余人を殺す。復、卑弥呼の宗女、壱与、年十三を立てて王と為す。国中遂に定まる。政等は檄を以って壱与に告諭す。

 男王Aが即位した結果、「国中服さず」とあります。そして、千人近くの人間が死んだ後で、壱与が即位します。

 さらに、魏の官吏で当時倭国に滞在していた張政は、壱与に対して「告諭」しているのです。

 私がこの記事で「?」を持つのは、張政と男王Aとの関係が記されていないことです。

 張政は、そもそも邪馬台(壱)国と狗奴国とが戦闘した際、卑弥呼の要請で魏から派遣された人間です。そんな人物が、肝心の邪馬壱国内部で内乱が起きているのに「何もしていない」というのは、明らかにおかしい話です。

 明らかに、『魏志』「倭人伝」は「何か」を隠しています。

 そのことについては、おいおい述べていくこととしましょう。


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 では、クマソタケルが男王Aだとすると、どういうことになるのでしょうか?

 年代的には男王A以外、考えられません。

 この場合、247年ごろの狗奴国との戦いの最中に卑弥呼が没した後、クマソタケルが即位したことになります。

 しかし、クマソタケルには求心力がありませんでした。彼に従わない人も多くいたのです。

 そんな中、クマソタケル兄弟は新しい宮殿を創ります。古代では大王交代の際に宮殿を変えるのは珍しくありません。

 クマソタケル兄弟からすると、卑弥呼の時代が終わり、自分たちの時代になったことを印象付けたかったのでしょう。

 ところが、そんなクマソタケル兄弟の新しい宮殿が落慶した記念の酒宴を行っている矢先に、事件は置きます。

 そう、ヤマトタケルによるクマソタケル兄弟の暗殺です。

 これがきっかけで、九州王朝では死者千人近くの内乱が発生します。

 そして、その結果、わずか7歳の壱与が九州王朝の大王に即位したのです。


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 こう考えると、一つの謎が解明できます。

 それは、

「どうして、ヤマトタケルはクマソタケルを暗殺した後も、生き延びたのか?」

ということです。

 本来、相手の大王を殺したのですから、その場で斬り捨てられても文句は言えません。

 ヤマトタケルはまだ子供なのですから、自分一人でその場を抜け出すことなど、極めて困難だったはずです。

 というよりも、もしも幼いヤマトタケルが自力で九州王朝の勢力圏を突破したのであるならば、むしろその「脱走譚」も「セット」になって、場合によっては「誇張」されて語り継がれているはずです。

 何しろ、敵の大王を殺した少年が追手から見事一人で逃れた、等という話は、それこそ古代人の聴衆が聞いて楽しみとしそうな話ではありませんか!

 そういう話がないということは、ヤマトタケルは自力で脱出したわけではないのです。

 ということは、実際には、その後の内乱の中でヤマトタケルを匿った勢力が九州王朝の内部にいたはずなのです。

 恐らく、彼らは壱与を擁立した勢力と一緒でしょう。

 ここで、『魏志』「倭人伝」にも『古事記』にも記されていない、二つのファクターが登場します。

 それは、卑弥呼の敵国・狗奴国と、卑弥呼への応援に来た張政です。

 彼らが、この状況で何もしていないはずが、ありません。

 次回からはそのことについて考察していきます。


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ヤマトタケル説話の考察

第一回 ヤマトタケルの「クマソタケル暗殺説話」ってどんな話?

第二回 「クマソタケル暗殺事件」の背景に壱与の影!?

第三回 247年3月24日の「卑弥呼暗殺」と魏の内政干渉

第四回 狗奴国は四国にあった

第五回 「倭建命」は三人いた!邪馬壱国と景行天皇の関係

第六回 ヤマトタケルは出雲に亡命してイズモタケルを暗殺?

(以下、続稿予定)

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