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2017年5月 2日 (火)

狗奴国は四国にあった――ヤマトタケル説話の考察(4)


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 ヤマトタケルがクマソタケルを暗殺する直前、邪馬壱国は狗奴国と戦っていました。そして、卑弥呼が亡くなった後に即位したクマソタケルが狗奴国と和平を行ったと考えられるわけですが、その狗奴国は果たしてどこにあったのでしょうか?

『魏志』「倭人伝」には、倭国には「使訳通ずる所」つまり「親魏派」の国が「30国」あると記しています。

 その内、9国は邪馬壱国への行程記事に記されていますが、残りの21国は次のようにまとめて記されています。そして、それに付随して「反魏派」の狗奴国にも触れているのです。

 次に斯馬国有り。次に巳百支国有り。・・・(中略)・・・次に奴国有り。此れ女王の境界の尽くる所なり。其の南、狗奴国有り。男子を王と為す。其の官に狗古智卑狗有り。女王に属さず。

 つまり、21国の中で「奴国」が親魏派の勢力圏の「境界」にあり、その南に狗奴国があった、というのです。

 この奴国は、行程記事に出て来る「二万戸の大国」の奴国とは、別の国であることは明らかです。

 東南奴國に至ること百里。官を兕馬觚と日い、副を卑奴母離と日う。二萬余戸有り。

 こちらの奴国は邪馬壱国を中心とする親魏派の勢力圏の境界に位置する国ではないうえに、この二つの奴国を重複としてみると、親魏派の国が「30国」ではなく「29国」になってしまいます。

 それでは、奴国はどこにあるのでしょうか?

 結論から言うと、正確なところは『魏志』「倭人伝」の記事だけではわかりません。しかし、ヒントはあります。


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『魏志』「倭人伝」の記事は張政の報告が元になっていると考えられます。というよりも、他に出典が考えられません。

 そうすると、『魏志』「倭人伝」における「里程記事」は張政自身が言って確認した記事なのでしょう。海を渡った記事がすべて「千里余り」となっていますが、中国人は海での距離の計測を得意としていないので、それは致し方がないでしょう。

 ところが、行程記事の中で投馬国だけが「日程」での表記となっています。

 南、投馬國に至ること、水行二十日。官を彌彌と日い、副を彌彌那利と日う。五萬余戸なる可し。

 これは古田武彦先生が文体から「傍線行程」と分析しており、私も同じ意見なのですが、ここで言いたいことは、投馬国には張政は行っていない、ということです。もしも張政が投馬国に足を運んでいたら、わざわざ本国にそこだけ日程で報告する意味が分かりません。

 さて、それでは投馬国はどこなのでしょうか?日程なので里程ほど明確にわかる訳ではありませんが、古田武彦先生はこれを南九州に比定していますし、私もそれでよいと思います。

 もっとも、田中卓先生は五島列島に比定していますし、私もそれが全くあり得ないとは思いませんが、五島列島に「五万戸」もの大国が存在したとは思えませんから、現時点では南九州説の方が妥当です。


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 そう考えると、狗奴国は多くの論者が主張するような南九州ではあり得ません。南九州には親魏派の大国である投馬国が控えています。

 では、どこか?

 これまで「邪馬台国九州説」を唱える論者の多くは、『魏志』「倭人伝」の国名を全て九州内部に比定してきました。しかし、私はそうではないと考えています。

『魏志』「倭人伝」には次の一節があります。

 女王國の東、海を渡る、千余里、復た國有り、皆倭種。又、侏儒國有り。其の南に在り。人長三・四尺。女王を去る、四千余里。

 女王国、つまり「邪馬壱国」の東に海を渡った先に「倭種」の国があり、そこに張政が実際に行っているのです。

 この「倭種」の国は、言うまでもなく「親魏派」の国です。そして、その場所は明らかに本州です。従って、『魏志』「倭人伝」に掲載された「21国」の一部は、本州にも広がっていたのです。

 一方の侏儒国は「親魏派」の国には含まれていませんが、張政が行くことができたということは、大和王朝と同じく「中立派」の国なのでしょう。里程記事から四国の足摺岬のあたりにあったと考えられますが、四国には親魏派の国は勢力を伸ばしていなかったわけです。

 すると、親魏派の国々の勢力圏の「境界」が本州にあることは、明白です。

 では、その「南」にある狗奴国はどこか?――四国、それも四国東部を中心とする領域、ということになります。


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 四国は山が多く「守りに易く、攻めるに難い」地形です。この南西部では「中立派」の侏儒国が独自の文化圏を築いていました。

 そして、東部を中心に(恐らく北西部も含めて)狗奴国を中心とする「反魏派」の諸国が存在していたわけです。当時の倭人は海洋民族ですから、瀬戸内地方の漁業権・通商権を巡る争いが、狗奴国と邪馬壱国との戦いの根幹にあったのでしょう。

 先述の親魏派の「21国」の中に、「巴利(はり)國」があります。この国が播磨を指すことはほぼ確実でしょう。巴利国と狗奴国は瀬戸内海を挟んで対立していたわけです。

『播磨国風土記』には讃伎日子神が播磨の地元の神と争い、追い出された話が出て来ます。これは、巴利国と狗奴国との抗争の反映でしょう。

 ちなみに、ヤマトタケルの母親は播磨の稲日太郎姫です。もしかしたら、景行天皇はヤマトタケルに対して

「クマソタケルというのは、お前の母親の故郷である播磨の敵・狗奴国と組んでいる悪いやつらなんだ、だから殺せ!」

と、吹き込んだのかもしれません。

 張政が侏儒国を訪問したのも、狗奴国に対する牽制、という意味合いもあったものと思われます。


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「狗奴国四国説」自体は、本居宣長が唱えた説なので、別に新しい説というわけではないのですが、現代では圧倒的少数派です。

 しかしながら、私が先入観なく『魏志』「倭人伝」を分析してみると、狗奴国は四国にあったとしか、思えません。

 そして、それは考古学の分布とも一致します。

 弥生時代後期の四国・瀬戸内地方を見てみると、四国から山陽地方にかけて「銅剣圏」が広がっており、その中でも分布が濃いのが讃岐です。

 一方、当時の九州は「銅矛・銅戈圏」ですが、四国南西部と淡路島にも「銅矛」と「銅戈」の分布が広がっています。四国・瀬戸内地方の中で四国南西部と淡路島だけ、「例外」というか「九州寄り」なのです。

 ところが、古墳時代になると四国・瀬戸内地方の中心は讃岐から吉備・播磨に移っていきます。邪馬壱国の時代は弥生時代から古墳時代への過渡期ですので、『魏志』「倭人伝」や『播磨国風土記』には瀬戸内海の派遣が讃岐の狗奴国から吉備・播磨といった邪馬壱国側の諸国に移っていく様子を描写していたわけです。

 ちなみに、近畿地方では弥生時代の銅鐸圏は大阪のあたりが中心ですが、古墳時代になると大和が中心になります。

 ヤマトタケル説話の背景を考えるうえで、当時の大和王朝が邪馬壱国や狗奴国とどういう関係にあったのか、ということは重要な要素です。

 次回以降は、ヤマトタケルに関する系譜を分析してその解明を行っていきます。


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ヤマトタケル説話の考察

第一回 ヤマトタケルの「クマソタケル暗殺説話」ってどんな話?

第二回 「クマソタケル暗殺事件」の背景に壱与の影!?

第三回 247年3月24日の「卑弥呼暗殺」と魏の内政干渉

第四回 狗奴国は四国にあった

第五回 「倭建命」は三人いた!邪馬壱国と景行天皇の関係

第六回 ヤマトタケルは出雲に亡命してイズモタケルを暗殺?

(以下、続稿予定)

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