仏教と神道についての雑感
チベットの音楽家のバイマー・ヤンジンさんが日本に来日したきっかけは、日本人男性に告白された時に日本は仏教の国だと知り、それで日本に好印象を持ったということだそうです。
日本人の多くは自分を「仏教徒」と考えています。
団塊サヨクの世代は「無神論」や「無宗教」を名乗りますが、最近の若い世代は殊更に自分が無宗教であることを強調はせず、「なんとなく仏教徒」という感じなのでしょう。だから、最近は僧侶がエンターテイメントの材料にもなっているようです。
さて、一口に「仏教」と言っても様々な宗派があります。
なので、私はスピリチュアルや宗教の話をする際には、しばしば相手に「家の宗派はどちらですか？」と聞きます。
どういうことかというと、例えば神社に対する捉え方は日蓮宗と浄土真宗では正反対です。
日蓮宗は神社参拝を好意的に捉えるのに対して、浄土真宗では「神祇不拝」の教義があります。
なので相手の宗派を聴くことは相手の信仰に配慮する上で必要なわけです。
日本人は自分を仏教徒と規定しているものの、実際にはお寺よりも神社によく行く傾向にあります。
ただ、神社は祭祀の場、お寺は宗教の場、という風に無意識に祭祀と宗教を区別しているのかもしれません。
無論、仏教と神道の違いを意識していない人も多いでしょう。
真言宗や天台宗では自分たちで神社を作っている教団もあるぐらい「神仏習合」が進んでいます。
日蓮宗は「釈迦本仏論」で釈迦牟尼如来を唯一絶対の本仏としていますから、日蓮宗の神道理解は他の神仏習合の宗派とは違うわけですが、私にはむしろ日蓮宗の教学の方が理解しやすく感じます。（もっとも、私は真言宗ですが。）
さて、それは置いておくと、宗派を聴くとかなりの人が「浄土真宗」と答えます。浄土真宗は日本最大の宗派ですが、本当に浄土真宗の檀家は多いですね。
ちなみに、真言宗の方は少ないです。真言宗の方を見つけても真言宗の何派かを知らない人はかなりいて、高野山真言宗の檀家としては少し寂しいですね。(笑)
意外に多いのが、「え？あ、知らないです・・・。」という反応！
私は真言宗への帰属意識を当たり前のように持っているのですが、そうでもない人も多いみたいです。
先程、日蓮宗は神道に好意的と書きました。
実際に日蓮宗の僧侶が神社に集団で参拝したりしています。
これには意外に思っている人もいるかもしれません。日蓮系の教団というと排他的なイメージがあります。
実はそういうイメージもあながち間違いではないのですが、日蓮系の教団は複数に分裂していて教団ごとに教義の違いも多いのです。
「勝劣・一致」とか「受・不受」といった論争は今の日蓮宗の内部でも統一見解はなく――立正大学の学長が不受不施派の人だったことがあるぐらいです―― 一概に「日蓮系だから」ということは出来ません。
ただ、神社に参拝しないのは私の知る限りでは日蓮正宗系の教団だけです。日蓮宗と日蓮正宗の教義は全く違う、少なくとも神社については正反対と言っても過言ではないでしょう。
大学に日蓮正宗の同級生がいますが、彼は「神社に参拝することは禁止されている」と言っていました。
神祇不拝の浄土真宗の檀家でも生長の家を信仰したり神社を崇敬する人は多いですから、日蓮正宗の方が徹底していると言えます。
日蓮聖人は神社が好きだったのですがね。
一応、私が調べた限りでは日蓮正宗は「神様を参拝することを禁止しているのではなく、神様を拝みたい人は日蓮正宗のお寺で拝んでください」ということだそうです。
だから別に「無神論者」だという訳ではないのでしょう。神様を拝むこと自体を禁じているのではなく、神社に行くことがダメなようです。
浄土真宗では「阿弥陀如来以外を拝んではいけない」という考えはありますが、神社の境内に入ることがダメ、というような主張ではないので、浄土真宗と日蓮正宗はその意味で全く違います。
なお、創価学会や顕正会は日蓮正宗の別派です。
ちなみに、生長の家とも仲の良い立正佼成会は日蓮宗系です。
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