皇極天皇と常世虫と百合の花
昔、NHKのドラマで「大化改新」というものがあった。
改めてみてみると、正直言って駄作ではあった。
中臣鎌足が「聖徳太子の志を引き継ごうとした」という設定なのに、具体的に大化の改新でどういう政治をやろうとしたかがあまり触れられておらず、クライマックスの蘇我入鹿暗殺の場面もあっさりしすぎだった。
『日本書紀』の歴史観だと中臣鎌足は律令国家への道を拓いた英雄ということになる訳で、その歴史観を肯定するにせよ、否定するにせよ、鎌足が公地公民制や班田収授制に対してどのような考えを持っていたかは必要なはずだった。
とは言え、面白い部分もあった。
皇極天皇が山背大兄王を殺した黒幕であるかのように描いている場面がそれだ。
皇極天皇と言えば舒明天皇の妻で中大兄皇子(天智天皇)の母親、我が国で二人目の女性天皇である。
山背大兄王を蘇我入鹿が自殺に追い込んだことがきっかけで中臣鎌足は蘇我入鹿暗殺を決意する、というのがこのドラマのあらすじなのだが、蘇我入鹿自身は山背大兄王暗殺に乗り気ではなく、さらに蘇我蝦夷は山背大兄王にむしろ好意的で、皇極天皇が蘇我入鹿に「父親を取るのか、私を取るのか」と迫る場面は、中々面白い視点だと思った。
確かに当時の蘇我氏に山背大兄王を暗殺する動機はないし、蘇我蝦夷が山背大兄王暗殺に反対していたという記述もある。
ただ、そうだとするともっと蘇我蝦夷と中大兄皇子の心情描写を重視してほしかったな、とは思う。
蘇我入鹿が殺された時に蘇我蝦夷はどう思って自決の道を選んだのか、中大兄皇子は母親のことをどのように思っていたのか、こうしたことを充分に描かないと「ドラマ」としての完成度は低いのではないか、と感じた。
実際の皇極天皇はどういう人だったのだろうか?
『日本書紀』を読んでみると皇極天皇の頃の人はかなり精神的に不安定だったようだ。
大勢の巫覡(巫は巫女の事、覡は男性版の巫女)が大臣を橋で待ち伏せして「神託」を伝えようとすることが二年連続で起きていたり、常世虫を信仰する宗教が広まったりしている。
常世虫というのはアゲハチョウの幼虫の事だ。アゲハチョウの幼虫をどうして信仰の対象にするのかはわからない。信じている人にはそれなりの理由があったのだろう。
ただ、その宗教は『日本書紀』の記述を信じるならば、今でいうカルト宗教だったようだ。
巫覡たちが「常世の神を祀れば貧しい人間は裕福になり、老人は若返るぞ!」という「神託」を告げては信者から財産を巻き上げて、アゲハチョウの幼虫を祀らせていたのだという。
酒や野菜や獣肉をお供えさせてはアゲハチョウの幼虫を祀らせるという、現代人からすると「邪教の儀式」にしか見えないことをしたり、信者からは「財産を差し出すように」と命じたりしていたらしい。
元々は富士川の辺で始まった宗教らしいが、皇極3年には大和にまで広まったという。
無論、アゲハチョウの幼虫を祀ったところで豊かになれるはずがない。それどころかこの教団は信者に怪しげな儀式をするために「財産を差し出せ、そうすると豊かになる」というのであるから、洗脳された信者がどんどん財産を差し出して、経済は一気に停滞したという。
もっとも、経済停滞の最大の理由はこの時期に頻発していた冷害だとは思うが、朝臣の秦河勝はこの邪教を武力で取り締まっている。
こういう宗教が広まるぐらい、当時の人々の心は不安定だったといえる。
乙巳の変が起きたのも冷害やカルトの蔓延による世情不安が背景にあっただろう。
中国でも「飢饉→新興宗教の流行→宗教への弾圧→易姓革命」というパターンは良く繰り返されている。
常世虫信仰の邪教もある意味では人々の不満の「ガス抜き」にはなっていた。それを秦氏が弾圧した翌年に乙巳の変が起きているのは偶然ではないかもしれない。宗教によるガス抜きが無くなると、民衆の怒りの矛先は政治権力に向かう。
常世虫信仰を始めとする当時の宗教に皇極天皇がどのように挑んだかは『日本書紀』の記述からはわからない。
だが、皇極天皇が百合が好きだったということは『日本書紀』の記述からわかる。
言うまでもなく花の百合である。GLの別名でも人物名でもない。
大伴馬養という人物が皇極天皇に百合を献上している。『日本書紀』の記述にあるということは個人的な趣味という訳ではなく、宗教的な意味があったのだろう。
ギリシャ神話では百合はゼウスの妻であるヘーラーを象徴する花らしい。ゼウスは浮気性であるが、ヘーラーは貞操を重んじる神である。ヘーラーは嫉妬深いとよく言われるが、今の時代だとゼウスの方が悪者扱いだろう。
そう言えば仁徳天皇と磐之媛もゼウスとヘーラーみたいな組み合わせだった。もっとも、仁徳天皇にはどうも「女鳥王一筋」だったのではないか、と言う気もする。
よく仁徳天皇が八田若郎女ばかりを愛して磐之媛が嫉妬した、と言う風に書かれるが、その割には仁徳天皇と八田若郎女の間には子供が一人もいない。そして八田若郎女と言えば女鳥王の同母姉である。仁徳天皇は自分を振った亡き女鳥王を八田若郎女に重ねていた感じがする。
話を戻す。日本神話では百合への信仰は特に見たらないが、度々百合が特別な花として出て来るから、皇極天皇の頃は百合が信仰の対象だった可能性も充分にあるだろう。
皇極天皇は蘇我蝦夷が雨ごいに失敗した翌月、雨ごいに成功して自分の権威を高めている。古代の他の権力者も呪術を祭祀の一環として行っていたが、皇極天皇はとりわけ神権的な色合いの強い統治を行っていた。弟の孝徳天皇が生田神社の神木を切り倒したのとは対照的である。
『日本書紀』の「旧本」では皇極天皇は乙巳の変の直前に難波に遷宮している。だが、難波には九州王朝の副都である前期難波宮がある。このことから皇極天皇は九州王朝とは良好な関係であったと考えられる。
しかし、乙巳の変が起きるとあっさり皇位を弟に譲ってしまう。それは謎である。孝徳天皇は姉とは対照的に生田神社の神木を切り倒すなど、呪術的なものを重視しない人物であった。
そうだとすると皇極天皇は政治的な権力にはあまり関心がなかった可能性がある。それでいて宗教的権威では蘇我氏の追随を許さなかった。意思ははっきりしているが、それは政治に向いているわけではない、そういう女性が皇極天皇だったようだ。
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